毎年、梅の開花に合わせて1月下旬か2月上旬頃から梅苑が公開されます。梅苑は有料ですが、無料のエリアも十分見応えがあります。まず、無料のエリアから見ていきましょう。
梅が咲き誇る全国天満宮の総本社
楼門から拝殿に向かうと三光門(さんこうもん)と呼ばれる中門があります。1607年に豊臣秀賴が造営した門で、国の重要文化財に指定されています。「天満宮」の額は、後西天皇(ごさいてんのう)の宸筆です。
檜皮葺(ひわだぶき)で装飾性豊かな軒唐破風と千鳥破風の門の屋根は、遠くからでも圧倒される重厚感があります。中門の脇には白梅があり、花を咲かせると荘厳な中門の1年を通じて最も美しい姿を演出します。
中門の左脇に狛犬が置かれています。よく見てください。狛犬の頭に角があります。狛犬は口を閉じていますが、反対側には角がなく口を開けている獅子がいます。
中門の前に下げられた提灯には、北野天満宮の神紋の「星梅鉢紋(ほしうめばちもん)」が入っています。反対側には松が描かれた堤燈が下げられています。
上の写真は、国宝の本殿の東側です。八棟造という建築様式で造られています。左が拝殿、右が本殿、中央が石の間で一段下がり、拝殿と本殿をつないでいます。
上から見ると、屋根の棟木がエの字形をしています。後の日光東照宮などの権現造(ごんげんづくり)の原型とされています。八棟造の八は多数を意味しており、棟の数は7つです。
上の写真は、神楽殿とその前の梅です。神楽殿では、狂言や日本舞踊のほか、毎月25日に神楽舞が奉納されます。
また、和太鼓演奏やミュージシャンのライブにも使われています。旧暦の七夕には、赤ちゃんの北野七夕祭泣き相撲が開催されます。
上の写真は、本殿の西側にある摂社・末社です。本殿を囲むように50の摂社・末社が建ち並んでいます。朱塗りの摂社・末社と梅の白い花がよく合います。摂社の地主社(じぬししゃ)は、天満宮の創建以前からある、境内で最も古い社です。
梅の木が、本殿の裏側にもたくさんありますので必見です。以上が無料ゾーンです。これだけでも十分楽しんでいただけると思います。飛梅伝説が伝わる本殿前の梅の御神木は、3月初めはまだ咲き始めでした。
日本人が愛してきた自然美を味わう
境内を一通り見たら、最後に有料の梅苑で梅を鑑賞しましょう。梅苑、御土居、紅梅殿付近の3つのエリアからなります。御土居は、紅白の枝垂れ梅がメインのゾーンです。
梅苑は、3月下旬まで開苑されます。梅の間を縫うように散策路を歩けます。一重咲や八重咲、花弁の色や大きさが様々な梅を楽しめます。
入場料には、梅苑内の茶屋のお茶と茶菓子が付いてきます。お茶は梅こぶ茶(ポットのお湯を入れる)、お菓子は老松の麩焼煎餅です。
上の写真は、国宝の北野天神縁起絵巻に描かれている菅原道真公の邸宅を再現した紅梅殿です。絵巻には、大宰府に左遷されることになり、京都を離れる際に詠んだ「東風吹かば 匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて春を忘るな」の和歌と共に紅梅殿が描かれています。
平安時代に宮中で行われていた曲水の宴などの文化的行事のほか、神前結婚式もここで行われています。
上の写真は、紅梅殿前にある紅梅殿別離の庭です。北野天神縁起絵巻に描かれた庭を再現したもので、小川が流れ、梅の花が咲き誇り、本殿を見渡すことができる贅沢な空間です。
北野天満宮の周辺にはホテルがありませんので、朝は参拝者が少ない穴場の時間帯です。花王の研究によると、梅の花は「開花直後の朝に最も香気量が多く、フレッシュな香りを放つ」ので、参拝者の少ない朝の訪問をおすすめします。
🌸アクセス
京都市上京区馬喰町
バス:京都市営バス「北野天満宮前」バス停
電車:京福電気鉄道/北野線「北野白梅町駅」(東へ徒歩6分)
🌸ホームページURL
北野天満宮オフィシャルサイト
http://kitanotenmangu.or.jp/index.php
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