2017/03/11

遍照寺と源氏物語「夕顔」|京都知られざる穴場の絶景

遍照寺(へんじょうじ)は、嵯峨野にある真言宗御室派の寺院です。源氏物語にゆかりのある寺ですが、あまり知られていない穴場の寺院です。

遍照寺からすぐの所に師走の鯉揚げで知られる名勝広沢池(ひろさわのいけ)があります。遍照寺はかつてこの池畔にあり、多宝塔や釣殿など数々の堂宇が並ぶ広大な寺院でした。

源氏物語「夕顔」ゆかりの寺

寺の建立の際に庭池として造営されたと伝わる広沢池には、金色の観世音菩薩を祀る観音島があったといいます。また、観月の名所であり、広沢池の月を詠んだ詩歌が多く残されています。

いにしへの人は 汀(みぎは)に影たえて 月のみ澄める 広沢の池(源頼政

遍照寺は、989年に宇多天皇の孫の寛朝(かんちょう)が開きました。寛朝は、晩年は高野山の座主になり、真言宗で初めて僧官制の頂点に位置たつ大僧正になった僧です。成田山新勝寺の開山の祖でもあります。

そんな方が創建された寺院なので、さぞかし荘厳を極めていたことでしょう。寛朝の没後は衰退と復興を繰り返しながら、江戸時代に現在地に移されています。

上の写真は護摩堂(本堂)で、本尊の十一面観音立像が創建時の姿で安置されています。同時期に創られ、地元で広沢の赤不動さんと親しまれる不動明王坐像とともに国の重要文化財に指定されています。

こじんまりとした境内ですが、いつも四季折々の花が迎えてくれます。撮影した3月中旬、護摩堂の前には、鉢植えの白梅が置かれていました。

護摩堂の横には、枝垂れの紅梅もあります。こちらは見頃を迎えていました。境内のあちこちでサザンカが咲いていますが、見頃過ぎです。下の写真は、2週間前の2月下旬に撮影したサザンカです。

最後に遍照寺の源氏物語とのゆかりについての話です。紫式部が20歳のとき、かつて広沢池畔にあった遍照寺である事件が起こります。

第62代村上天皇第七皇子の具平親王(ともひらしんのう)は、寛朝の招きにより、大顔を伴い遍照寺を訪れました。しかし、大顔は月見の最中に急逝してしまいます。

大顔は、親王家に仕える雑役の女性でした。この身分違いの恋や遍照寺の事件などは、光源氏の目にとまり愛されたが、物の怪にとりつかれて死んでしまう夕顔の話の土台になったといわています。

穴場の遍照寺で源氏物語に思いをはせた後は、時代劇や映画のロケにもよく使われる風光明媚な広沢池、そして、世界遺産大覚寺も徒歩圏内ですので、セットで訪問するのがおすすめです。



🌸アクセス
京都市右京区嵯峨広沢西裏町14
バス:京都市営バス「広沢池・佛大広沢校前」バス停 南へ徒歩4分

🌸ホームページURL
遍照寺オフィシャルサイト
http://www.eonet.ne.jp/~henjouji/index.htm

🌸公衆トイレ
なし

🌸周辺の見所
広沢池、大覚寺、佛教大学宗教文化ミュージアム