妙法院は、普段は非公開で観光客にあまり知られていない寺院です。千体の国宝千手観音坐像で有名な三十三間堂(蓮華王院本堂)は、妙法院が所有・管理している仏堂です。
※国宝の庫裏は、保存修理工事が令和8年度まで続く予定です。
幕末の歴史舞台にもなった名門寺院
上の写真は、国宝に指定されている庫裏(くり)です。国宝の庫裏は、妙法院の他には宮城県の瑞巖寺(ずいがんじ)しかありません。庫裏は、寺院の台所であり、居住する場所です。
豊臣秀吉が方広寺大仏殿の落慶法要の際、千僧供養を行ったときの食事を準備した遺構と伝えられていますが、正確な建立年代は明らかでありません。
高さは18mもあり、本瓦葺きの屋根の上には煙出がついています。内部の小屋組などの意匠に桃山時代の気風をよく現わしているとされています。
庫裏の唐破風を乗せた玄関の前には、紅枝垂れ桜が植えられています。満開の桜が庫裏を美しく彩る光景は、京都らしい美しさを感じさせる絶景です。
上の写真は、重要文化財に指定されている玄関です。撮影した2月下旬、玄関前の庭では、白梅が見頃になっていました。
玄関と大書院は、東福門院(第2代将軍徳川秀忠の五女、後水尾天皇の中宮)の入内時に御所に造営された殿舎の一部を賜ったものと伝えられています。
上の写真は、宸殿(しんでん)です。皇族や公家が住持を務める門跡寺院に特有の建物です。幕末の七卿落ち(しちきょうおち)という歴史の舞台として有名です。
1863年に起きた八月十八日の政変というクーデターで長州藩は京都を追われることとなり、藩兵千余人と失脚した尊王攘夷派の7人の公家は、妙法院から長州へと下りました。
宸殿の前には、紅白の梅の花が咲いています。紅白そろって見頃を迎えていました。
毎年5月に行われる「五月会」や「非公開文化財特別公開」が開催されているときは、通常非公開の伽藍内部が公開されます。
🌸アクセス
京都市東山区妙法院前側町447
バス:京都市営バス「東山七条」バス停
電車:京阪電気鉄道京阪本線「七条駅」東へ徒歩7分
🌸ホームページURL
京都観光Navi:妙法院
🌸公衆トイレ
あり(きれい)
🌸周辺の見所
智積院、三十三間堂、養源院、豊国神社、方広寺