2017/03/26

京都市街中心部に佇む菅大臣神社|京都知られざる穴場の絶景

菅大臣神社(かんだいじんじんじゃ)は、京都市中心部の四条烏丸近くの住宅街の中にあります。三方から細道が社殿に通じていますが、気を抜いていると通り過ぎてしまいます。

菅大臣って誰?と思われるかもしれませんが、学問の神様、菅原道真公のことです。道真公は、学者出身の政治家として異例の出世を重ね、右大臣にまで昇られた方です。

中心市街地の住宅街にひっそりたたずむ神社

道真公を祀る神社を天満宮といいます。この神社の扁額にも天満宮と書かれています。この地は菅原氏累代の邸宅菅家廊下といわれた学問所の跡だと伝えられています。

また、道真公が旅立つ際に、「東風吹かば…」と詠んだ飛梅の地と伝えられています。梅は、左遷された道真の後を追って、一晩のうちに大宰府まで飛んでいったといいます。

古くは天神御所・白梅殿と称された

鳥居前の狛犬と燈籠を紅梅が彩っています。春限定の美しい光景です。神社の境内は広くないですが、梅の他にも椿ボケの花が咲いていました。

道真公の誕生の地とも伝えられており、鳥居の斜め前には、道真公の産湯に使われた誕生水を汲んだといわれる「天満宮誕浴の井」があります。

鳥居をくぐると、すぐ右手にはの木があり、ちらほら花を付けています。上の写真でもわかりますが、本殿の脇にも美しい紅梅があります。

現在の本殿は、1869年に下鴨神社から1835年に建立された本殿を移築したものです。幣殿と合わせて八棟造りで、銅巻柿葺の豪華な建築となっています。

本殿の右側にある狛犬は、右前足を上げて、足の甲にを載せた珍しい姿をしています。まるで手招きをしているかのようですので、注目して見てみてください。

下の写真の駒札の後ろに桜の木があるのが見えますでしょうか。桜が満開になるまで、梅の花がもってくれると最高の競演になります。

5月の日曜日に道真公を偲ぶ例祭が行われます。前日の宵宮祭では、山伏によるお練りや境内で護摩木が焼かれます。例祭当目は、拝殿で茂山千五郎社中による狂言奉納があります。

また、仏光寺通をはさんで北側の露地には、道真公の父・菅原是善(すがわらのこれよし)を祀っている北菅大臣神社があります。仏光寺通には昭和18年に建てられた「菅家邸址 紅梅殿」の石標があり、この地の歴史を今に伝えています。



🌸アクセス
京都市下京区菅大臣町187
バス:京都市営バス「西洞院仏光寺」バス停 北へ徒歩2分
電車:京都市営地下鉄「四条駅」・阪急電車「烏丸駅」 徒歩5分

🌸ホームページURL

🌸公衆トイレ
なし

🌸周辺の見所
杉本家住宅

2017/03/25

平岡八幡宮の椿と花の天井|京都知られざる穴場の絶景

3月~4月に京都の高雄へ行かれる方におすすめしたいのが、京都市街から高雄に向かう道中にある平岡八幡宮(ひらおかはちまんぐう)です。

平岡八幡宮は、椿高雄もみじで知られる神社です。809年に弘法大師空海が、神護寺鎮護のため、現在地より高い山腹に宇佐八幡宮(大分県)から勧請したのが始まりとされています。

宮司による案内で楽しむ「椿を愛でる会」

平岡八幡宮では、境内に植わる約200種類、約300本の椿が見頃を迎える例年3月中旬頃から4月中旬頃まで、「椿を愛でる会」が開催されます。

地面に落ちた椿の花は、宮司が拾い集め、大福茶の接待を受ける場所に器に入れて置いてあります。ちょっとしたおもてなしが、訪れる人の気分を癒してくれます。

宮司が境内を案内し、椿や神社の見所などを説明してくださいます。拝殿の隅にも椿などがさりげなく生けてありました。本殿前の右には、左にはの木があります。

願い成就し、白玉椿一夜にて花咲く


ここにはぜひ見ていただきたい椿があります。樹齢約200年しだれ八重白玉椿です。この椿に願いを掛けると一夜にして純白の花が咲いて成就したという白玉椿伝説が故事に残されれています。

細めの小枝が枝垂れて、たくさんの花が咲きます。例年の見頃は3月下旬頃ですが、冷え込む日が続くと遅れます。3月初めは、まだ防寒用の覆いがかけられて保護されていました。



満開になるまで、待っていると先に咲いた花はどうしても傷んで変色してしまいます。花が上から下まで元気ということはないので、代わる代わる咲いている時が見頃です。


また、この椿には、宮司である佐々木さんの祖父の俳名(俳人としての雅号)をとって、「一水(いっすい)椿」という銘が付けられています。


境内に約300本の椿が咲き誇る


しだれ八重白玉椿の他にも境内にはたくさんの品種の椿があります。京都で椿といえば、霊鑑寺地蔵院、250品種、約600本の椿が展示される京都府立植物園なども名所として有名です。

上の写真は、本殿の横で咲いていた白い花の椿です。花の咲く時期が品種によって少しずつ違うので、訪れる度に新しい発見があります。

春の訪れを告げる椿は、日本原産の樹木で、古来から日本人に愛されてきました。そのため、品種改良でたくさんの園芸品種が作られてきました。

そのため、花色や花形、花の大きさの異なる椿がたくさんあります。

上の写真は、椿の小径と呼ばれる散策路で咲いていた椿です。

椿は日本原産の木で、古くから庭木として愛されてきました。江戸時代には椿が盛んに流行し、多くの園芸品種が生み出されています。

色も形も様々な美しい花が咲きほこっています。そして、椿の花が地面に落ちた光景もまた美しいく、長く楽しめるのが椿の良い所です。

上の写真は、日光(じっこう)と思われます。おしべが小円形にまとまる唐子(からこ)咲きが特徴です。

次々と花を咲かせるので、見頃はしばらく続きます。



上の写真は、日光と同じ唐子咲きの月光(がっこう)と思われます。関東では、卜半(ぼくはん)と呼ばれています。

月光(卜半)は、江戸時代初期にはその存在が知られており、当時の園芸書「広益地錦抄(こうえきちきんしょう)」(1719年)にも掲載されています。(貝塚市HPより)

月光(卜半)は、京都市内では霊鑑寺(左京区)、宝鏡寺(上京区)、大徳寺大仙院(北区)などで見ることができます。



境内には、の木も植えられており、椿との競演が楽しめます。例年だと桜が咲くよりも少し早くに訪れると、本殿前にが咲いています。


四季折々の花で彩られた「花の天井」

上の写真は、氏子さんが奉納された百椿図屏風です。たくさんの椿が描かれた色鮮やかな京友禅の屏風です。縁側に座布団が置いてあるので、ひと息つくことができます。

また、椿を愛でる会では、本殿内陣の「花の天井」が公開されます(有料)。江戸末期極彩色で描かれた天井には、椿や桜、ボタン、高雄もみじ、ケシ、甘草、ジャスミンなど44枚の花卉図が描かれています。

平岡八幡宮は、高尾にある神護寺などとセットで立ち寄りたい穴場の名所です。訪れる人は少なく、静かに美しい花々に囲まれ、心を癒すことができます。



🌸アクセス
京都市右京区梅ケ畑宮ノ口町23
バス:京都市営バス・西日本JRバス「平岡八幡前」バス停

🌸ホームページURL
京都観光オフィシャルサイト 京都観光Navi

🌸公衆トイレ
あり

🌸周辺の見所
神護寺

桜守・佐野藤右衛門邸の桜畑|京都知られざる穴場の絶景

今回ご紹介するのは、1832年(天保3年)創業の植藤造園の第16代当主・佐野藤右衛門(さのとうえもん)桜畑です。ご好意での私邸の敷地の開放ため、隠れた桜の名所です。

佐野藤右衛門さんは、京都迎賓館の作庭やパリにあるユネスコ本部の日本庭園の施工など国内外で活躍されている庭師です。15代が植えた円山公園祇園しだれ桜も管理されています。

桜守が自宅の桜畑を一般公開

佐野藤右衛門さんは、14代が始めた名桜の保存活動を継承され、全国各地を飛び回り、名桜や老桜が無事に花をつける世話をする桜守(さくらもり)として知られています。

そんな佐野藤右衛門邸の桜畑は、まるで桜の花の博物館です。園内には、約170種の桜があり、佐野藤右衛門さんが作出した品種もあります。

今回は早咲きの桜を紹介します。上の写真は、河津桜(かわづざくら)です。伊豆半島の河津町に原木があります。紫紅色の大きな花は存在感があります。

上の写真は、寒桜(かんざくら)です。寒緋桜(かんひざくら)と山桜の雑種と推定されています。花はやや小さめの一重で、縁にいくほど濃い淡紅色です。

上の写真は、台湾寒緋桜(たいわんかんひざくら)です。台湾に自生している桜で、寒い頃から濃紅色の花を咲かせます。花は下向きに咲き、花弁は散らずに、がくのついた花ごと落下します。


上の写真は、十六夜桜(いざよいざくら)です。旧歴の1月16日頃に開花するので、この名があるとのことです。

上の写真は、彬姫(あきひめ)です。三笠宮家の彬子(あきこ)女王殿下が佐野藤右衛門邸に来られたときに初めて花が咲いたことから命名されました。

突然変異で生まれた十六夜桜の一種です。京都府立植物園北山門近くの桜品種見本園にも植樹されています。

桜の開花情報は、植藤造園のウェブサイトで確認してください。個人の敷地ですので、マナーを守って参観してください。駐車場やトイレはありません。純粋に桜を楽しみに来てください。



🌸アクセス
京都市右京区山越中町13番地
バス:京都市営バス「山越」バス停 西へ徒歩2分

🌸ホームページURL
植藤造園オフィシャルサイト
https://www.uetoh.co.jp/

🌸公衆トイレ
なし(近くの公園内にあり)

🌸周辺の見所
広沢池、遍照寺、平安郷

2017/03/19

車折神社の梅と早咲きの桜|京都知られざる穴場の絶景

車折(くるまざき)神社は、嵐山に近い所にあります。境内に芸能人がこぞって訪れる芸能神社があることで知られています。また、かつて画家の富岡鉄斎が宮司を務めていました。

車折神社の御祭神である清原頼業(きよはらのよりなり)公は、平安時代後期の著名な儒学者です。学業成就はもとより、金運や良縁など様々なご利益をいただけます。

桜の名所は梅も美しい

芸能神社に参拝する前に、車折神社の神様をまつる本殿に参拝してください。本殿で参拝を終えると、中門前の見事な枝垂れ梅が目に飛び込んできます。

車折神社の前身は、頼業公の菩提を弔うために建てられた廟(びょう)です。生前に頼業公がを愛したことから、廟の周りに多くの桜の木が植えられました。

春になると桜の花が咲き乱れることから、桜の宮と称されるほどでした。現在も早咲きの桜から遅咲きの桜まで約15種、40本の桜のある桜の名所です。

上の写真は、京都で唯一、清少納言を祀る清少納言社の横の桜です。例年3月中旬が見頃です。小さい神社に次々と人が来るので、人を入れずに写真を撮るのは一苦労です。

上の写真は、芸能神社の横にある鳥居と河津桜(かわづざくら)です。河津桜は、早咲きの桜で枝垂れ梅が見頃を迎える頃に咲き始め、3月上旬頃に見頃を迎えます。

鳥居の向こうには、名前の書かれた朱塗りの玉垣がずらっと並んでいます。意外に安い(?)1枚13,000円で、奉納すれば2年間掲出されます。

上の写真は、社号柱の近くにある寒緋桜(かんひざくら)です。濃紅色の花が鮮やかな桜です。普通の桜より開花は早く、例年3月中旬に見頃を迎えます。

梅と同時期に早咲きの桜を楽しめることが分かっていただけたと思います。4月上旬にかけて品種の異なる桜が順番に咲き、中でも3月下旬に見頃を迎える日本画家の冨田渓仙が奉納した渓仙桜が有名です。

中門前では、アセビ(馬酔木)が穂になって白い花を咲かせていました。馬酔木の由来は、馬が食べると毒で酔ったような状態になるからだそうです。

京福電鉄車折神社駅で下車すると、目の前は車折神社の裏参道です。観光客で混雑する前の穴場となる朝に、途中下車して一足早く春の花咲く車折神社を訪れてみてください。


🌸アクセス
京都市右京区嵯峨朝日町23
バス:京都市バス・京都バス「車折神社前」 北へ徒歩約3分
電車:京福電鉄嵐山本線「車折神社駅」すぐ

🌸ホームページURL
車折神社オフィシャルサイト
http://www.kurumazakijinja.or.jp/

🌸公衆トイレ
あり

🌸周辺の見所
鹿王院

淀水路と早咲きの河津桜|京都知られざる穴場の絶景

京都にひと足早く桜の季節がやってくる名所があります。伏見区の淀(よど)にある淀水路沿いで、河津桜(カワヅザクラ)が咲きます。年々知名度が上がっています。

河津桜は、伊豆半島静岡県河津町に原木がある桜です。ご当地の河津町では2月中旬頃から見頃になりますが、淀ではそれより少し後に見頃を迎えます。

最初は2本、地元住民らが育んだ桜

淀水路があるのは、JRAの京都競馬場の南です。最寄駅は、京阪電車の淀駅です。北出口から出ると、ノボリや貼り紙の矢印で淀水路の河津桜までの案内があります。

河津桜は、紫紅色一重咲、わりと大きめの花を咲かせます。早咲きの大島桜系寒緋桜系の自然交配種と推定されています。開花から約1カ月もの間咲き続けます。

淀水路やその周辺には、河津桜が約200本あるとのこと。地域住民でつくる「淀さくらを育てる会」が、2002年から植樹されています。

最初は2本の植樹から始められ、毎年少しずつ苗木を増やしていかれたそうです。淀の名所にしようという地域の方々のまちおこしへの強い思いが伝わってきます。

おかげさまでこうして桜並木を楽しむことができるので、ありがたいことです。そんな淀水路の河津桜の背景を知った方は、ぜひ淀でお金を使ってあげてください。

河津桜は、日当たり良く暖かい場所を好むので、寒さの影響で開花が遅れることがあります。


ご覧のとおり、花の密度がすごいです。鮮やかで濃いピンクは、周囲の緑や植えられている菜の花とよく合います。

淀水路の桜並木は、ゆっくり歩いても30分もかかりません。桜並木を下流(京阪電車の高架に近い方)に進むほど、桜の木が大きくなります。

河津桜が終わった後も枝垂れ桜やソメイヨシノが咲きます。足元には、これまた地元の方が植えられた花が咲いています。

淀水路には、若い女性や外国人観光客の姿も見られます。淀といえば競馬場だけでなく、河津桜というイメージが定着するのもそう遠くない未来かもしれません。



🌸アクセス
京都市伏見区淀木津町、淀新町
電車:京阪電気鉄道京阪帆船「淀駅」徒歩10分

🌸ホームページURL
なし

🌸公衆トイレ
なし

🌸周辺の見所
淀城跡公園、與杼神社、妙教寺

2017/03/11

遍照寺と源氏物語「夕顔」|京都知られざる穴場の絶景

遍照寺(へんじょうじ)は、嵯峨野にある真言宗御室派の寺院です。源氏物語にゆかりのある寺ですが、あまり知られていない穴場の寺院です。

遍照寺からすぐの所に師走の鯉揚げで知られる名勝広沢池(ひろさわのいけ)があります。遍照寺はかつてこの池畔にあり、多宝塔や釣殿など数々の堂宇が並ぶ広大な寺院でした。

源氏物語「夕顔」ゆかりの寺

寺の建立の際に庭池として造営されたと伝わる広沢池には、金色の観世音菩薩を祀る観音島があったといいます。また、観月の名所であり、広沢池の月を詠んだ詩歌が多く残されています。

いにしへの人は 汀(みぎは)に影たえて 月のみ澄める 広沢の池(源頼政

遍照寺は、989年に宇多天皇の孫の寛朝(かんちょう)が開きました。寛朝は、晩年は高野山の座主になり、真言宗で初めて僧官制の頂点に位置たつ大僧正になった僧です。成田山新勝寺の開山の祖でもあります。

そんな方が創建された寺院なので、さぞかし荘厳を極めていたことでしょう。寛朝の没後は衰退と復興を繰り返しながら、江戸時代に現在地に移されています。

上の写真は護摩堂(本堂)で、本尊の十一面観音立像が創建時の姿で安置されています。同時期に創られ、地元で広沢の赤不動さんと親しまれる不動明王坐像とともに国の重要文化財に指定されています。

こじんまりとした境内ですが、いつも四季折々の花が迎えてくれます。撮影した3月中旬、護摩堂の前には、鉢植えの白梅が置かれていました。

護摩堂の横には、枝垂れの紅梅もあります。こちらは見頃を迎えていました。境内のあちこちでサザンカが咲いていますが、見頃過ぎです。下の写真は、2週間前の2月下旬に撮影したサザンカです。

最後に遍照寺の源氏物語とのゆかりについての話です。紫式部が20歳のとき、かつて広沢池畔にあった遍照寺である事件が起こります。

第62代村上天皇第七皇子の具平親王(ともひらしんのう)は、寛朝の招きにより、大顔を伴い遍照寺を訪れました。しかし、大顔は月見の最中に急逝してしまいます。

大顔は、親王家に仕える雑役の女性でした。この身分違いの恋や遍照寺の事件などは、光源氏の目にとまり愛されたが、物の怪にとりつかれて死んでしまう夕顔の話の土台になったといわています。

穴場の遍照寺で源氏物語に思いをはせた後は、時代劇や映画のロケにもよく使われる風光明媚な広沢池、そして、世界遺産大覚寺も徒歩圏内ですので、セットで訪問するのがおすすめです。



🌸アクセス
京都市右京区嵯峨広沢西裏町14
バス:京都市営バス「広沢池・佛大広沢校前」バス停 南へ徒歩4分

🌸ホームページURL
遍照寺オフィシャルサイト
http://www.eonet.ne.jp/~henjouji/index.htm

🌸公衆トイレ
なし

🌸周辺の見所
広沢池、大覚寺、佛教大学宗教文化ミュージアム

2017/03/05

北野天満宮満開の梅と建築美|京都知られざる穴場の絶景

早春の京都で絶対行くべき名所を聞かれたら、迷わず北野天満宮と答えます。境内には珍種の梅を含め50種約1,500本の梅があり、境内一円で梅が咲き誇る絶景は必見です。

毎年、梅の開花に合わせて1月下旬か2月上旬頃から梅苑が公開されます。梅苑は有料ですが、無料のエリアも十分見応えがあります。まず、無料のエリアから見ていきましょう。

梅が咲き誇る全国天満宮の総本社

楼門から拝殿に向かうと三光門(さんこうもん)と呼ばれる中門があります。1607年に豊臣秀賴が造営した門で、国の重要文化財に指定されています。「天満宮」の額は、後西天皇(ごさいてんのう)の宸筆です。

檜皮葺(ひわだぶき)で装飾性豊かな軒唐破風千鳥破風の門の屋根は、遠くからでも圧倒される重厚感があります。中門の脇には白梅があり、花を咲かせると荘厳な中門の1年を通じて最も美しい姿を演出します。

中門の左脇に狛犬が置かれています。よく見てください。狛犬の頭にがあります。狛犬は口を閉じていますが、反対側には角がなく口を開けている獅子がいます。

中門の前に下げられた提灯には、北野天満宮の神紋の「星梅鉢紋(ほしうめばちもん)」が入っています。反対側にはが描かれた堤燈が下げられています。

上の写真は、国宝本殿の東側です。八棟造という建築様式で造られています。左が拝殿、右が本殿、中央が石の間で一段下がり、拝殿と本殿をつないでいます。

上から見ると、屋根の棟木がエの字形をしています。後の日光東照宮などの権現造(ごんげんづくり)の原型とされています。八棟造の八は多数を意味しており、棟の数は7つです。

上の写真は、神楽殿とその前の梅です。神楽殿では、狂言や日本舞踊のほか、毎月25日に神楽舞が奉納されます。

また、和太鼓演奏やミュージシャンのライブにも使われています。旧暦の七夕には、赤ちゃんの北野七夕祭泣き相撲が開催されます。

上の写真は、本殿の西側にある摂社末社です。本殿を囲むように50の摂社・末社が建ち並んでいます。朱塗りの摂社・末社と梅の白い花がよく合います。摂社の地主社(じぬししゃ)は、天満宮の創建以前からある、境内で最も古い社です。

梅の木が、本殿の裏側にもたくさんありますので必見です。以上が無料ゾーンです。これだけでも十分楽しんでいただけると思います。飛梅伝説が伝わる本殿前の梅の御神木は、3月初めはまだ咲き始めでした。

日本人が愛してきた自然美を味わう

境内を一通り見たら、最後に有料の梅苑で梅を鑑賞しましょう。梅苑御土居紅梅殿付近の3つのエリアからなります。御土居は、紅白の枝垂れ梅がメインのゾーンです。

梅苑は、3月下旬まで開苑されます。梅の間を縫うように散策路を歩けます。一重咲や八重咲、花弁の色や大きさが様々な梅を楽しめます。

入場料には、梅苑内の茶屋のお茶と茶菓子が付いてきます。お茶は梅こぶ茶(ポットのお湯を入れる)、お菓子は老松の麩焼煎餅です。

上の写真は、国宝北野天神縁起絵巻に描かれている菅原道真公の邸宅を再現した紅梅殿です。絵巻には、大宰府に左遷されることになり、京都を離れる際に詠んだ「東風吹かば 匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて春を忘るな」の和歌と共に紅梅殿が描かれています。

平安時代に宮中で行われていた曲水の宴などの文化的行事のほか、神前結婚式もここで行われています。

上の写真は、紅梅殿前にある紅梅殿別離の庭です。北野天神縁起絵巻に描かれた庭を再現したもので、小川が流れ、梅の花が咲き誇り、本殿を見渡すことができる贅沢な空間です。

北野天満宮の周辺にはホテルがありませんので、朝は参拝者が少ない穴場の時間帯です。花王の研究によると、梅の花は「開花直後の朝に最も香気量が多く、フレッシュな香りを放つ」ので、参拝者の少ない朝の訪問をおすすめします。



🌸アクセス
京都市上京区馬喰町
バス:京都市営バス「北野天満宮前」バス停
電車:京福電気鉄道/北野線「北野白梅町駅」(東へ徒歩6分)

🌸ホームページURL
北野天満宮オフィシャルサイト
http://kitanotenmangu.or.jp/index.php
北野天満宮Facebook
https://www.facebook.com/kitanotenmangu
北野天満宮Twitter
https://twitter.com/kitano_bunka
🌸公衆トイレ
あり(普通)

📷周辺の見所
平野神社、上七軒、大将軍八神社、千本釈迦堂(大報恩寺)