2017/05/14

京都知られざる穴場の絶景|西明寺の青もみじ

四季の移ろいの美を求めて、今回は京都市郊外の高尾へ向かいます。
この時期に楽しみな京都の絶景といえば、鮮やかな青もみじです。

今回ご紹介するのは、紅葉の名所として名高い西明寺(さいみょうじ)です。
神護寺、西明寺、高山寺の「三尾の名刹」をセットで訪問するのがおすすめです。

もみじといえば、秋に鑑賞するものだという意識が強いかもしれません。
京都人としては、他の季節のもみじの美しさもぜひ楽しんでいただきたいと思います。


静かな境内で青もみじを楽しむ



秋の紅葉の時期は混雑する西明寺ですが、この時期は人がまばらで静かです。
アジアからの声の大きな団体客にイラっとすることもありません。

表門をくぐると、正面に緑に包まれた本堂が目に飛び込んできます。
この光景だけでこの寺を気に入っていただけると思います。

木が大き過ぎて写せませんが、境内中央のコウヤマキの巨木も目を見張る立ち姿です。
現在の伽藍は、1700年に第5代将軍徳川綱吉の母・桂昌院による再建とされています。

上の写真は、庫裏の前です。
西明寺は境内全体が紅葉の見所とあって、青もみじの緑一色に染まる光景を楽しめます。

紅葉の時期は、境内に入るには入山料500円がかかります。
紅葉の時期以外は、本堂内部の拝観(500円)を除き境内の拝観は無料です。

本堂の本尊は高さ51cmの木造釈迦如来立像で、重要文化財に指定されています。
鎌倉時代の清凉寺式釈迦如来像で、胎内に1047年の墨書銘が印されています。


新緑で緑一色に染まる苔むした境内

苔むした境内も西明寺の魅力のひとつです。
苔の成長に適した梅雨の時期と暑さが和らぐ秋は、苔がとてもきれいです。

境内や石段の参道脇に立つ苔むした石灯篭は、オブジェのようです。
緑のシャワーを浴びて静かに流れる時を過ごせば、心身ともにリラックスできます。

苔の種類までは分かりませんが、京都には苔が美しいことで有名な寺院もありますので、苔をテーマにめぐるのも良いかもしれません。

こちらの写真は、本堂と同じ1700年に造営された表門です。
この門は、薬医門(やくいもん)という種類に分類されます。

薬医門は、屋根の棟の位置が前の柱と後ろの柱の中間より前方に寄せられているため、正面の軒が深く、風格のある門構えとなっているのが特徴です。

門前には苔むした石灯篭や新緑の緑が広がり、荘厳な世界の入口にふさわしい構えとなっています。この門をくぐった先に広がる空間に期待を持たせてくれます。


赤く色づく春のノムラモミジにも注目


表門の右手にノムラモミジの木があります。
ノムラモミジは、春の若葉と秋の紅葉時に紅紫色の葉をつけます。

ノムラモミジは、春に成長する新しい葉が最も美しい紅の葉色となります。
太陽の光を透かすように葉を見ると、秋の紅葉のように真っ赤に見えます。

順番が逆になりましたが、こちらは清滝川に架かる指月橋です。
指月橋を渡って、短い石段の参道の先に表門があります。

この光景からしても西明寺の秋の紅葉がいかに美しいものであるか想像がつきます。
青もみじの良さも感じていただけたなら、ぜひ京都にいらしてください。



🌸アクセス
京都市右京区梅ケ畑槙尾町1
バス:西日本JRバス「槙ノ尾」バス停 徒歩5分
   京都市営バス「高雄」バス停 徒歩10分

🌸ホームページURL

🌸公衆トイレ
なし

🌸西明寺で見られる花
ツツジ、シャクナゲ

🌸周辺の見所
神護寺、高山寺

2017/05/06

京都知られざる穴場の絶景|本満寺の牡丹

奥深い京都の魅力を求めて、今回は京都御苑の周辺へ向かいます。
京都御苑の東側を沿って走る寺町通には、寺院が連なるように建ち並んでいます。

今回ご紹介するのは、その寺町通に面して建つ本満寺(ほんまんじ)です。
京都御苑から歩いて行ける距離ですので、京都御苑とセットで訪問するのがおすすめです。

本満寺といえば、円山公園の「祇園枝垂れ」の姉妹樹である枝垂れ桜が有名です。
その枝垂れ桜が見頃を過ぎた頃、入れ替わるように牡丹(ボタン)が咲き始めます。


近衛家とゆかりある日蓮宗の本山(由緒寺院)

本満寺は、公家の五摂家のひとつ近衛家とゆかりがあり、近衛家の家紋(近衛牡丹)に牡丹がかたどられていることにちなんで、牡丹が植えられるようになったといいます。


寺伝によれば、本満寺は、関白・近衛道嗣の邸宅内に、その子で僧の玉洞妙院日秀(にっしゅう)が広宣流布山本願満足寺と号し創建したのに始まるといいます。

1410年の創建当時に本満寺があった場所には、元本満寺町という町名が残されています。
同志社大渓水館の発掘調査では、本満寺を巡っていたと推定される溝が見つかっています。


静かな境内を彩る色とりどりの牡丹

牡丹は、枝垂れ桜の前や本堂の前と西側で咲いています。
例年だと見頃は、4月中旬から5月上旬です。

今回は少し来るのが遅かったので、本堂前の牡丹は見頃を過ぎていました。
写真は、枝垂れ桜の前で咲いていた黄色の牡丹です。

品種名が書かれたものがなかったので、残念ながら品種名はわかりません。
朝早くに訪れましたが、水やりが終わっていて大切にされているのが伝わってきました。

下の3枚の写真は、本堂前で撮影したものです。
牡丹は、8世紀に中国から薬用植物として渡来したといわれています。

後に観賞用も栽培されるようになり、江戸時代に多くの園芸品種が生み出されています。
現在栽培されている品種の多くは、明治時代以降に作出されたものです。
(出典:NHK出版「みんなの趣味の園芸」)


牡丹と似た花にシャクヤクがあります。ともにボタン科ボタン属に属します。
牡丹は小低木ですが、シャクヤクは、冬に地上部が枯れる多年生の草です。

「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」ということわざがあります。
 美しい女性の容姿や立ち居振る舞いを花にたとえて形容する言葉です。

それほど牡丹は、昔から美しさを象徴する植物だったのでしょう。
近衛家が家紋に優美で豪華な牡丹を用いたのも納得がいきます。

下の写真を撮影している間に、花びらが散り始めました。
花びらは1枚ずつ散るのですが、短時間に次々と花びらが落ちてきました。

大輪の花が一気に散っていく様子に、はかなさを感じました。
GWですが、本満寺は客が少ないので、人知れずひっそりと散っていくのでしょう。

本満寺は、観光寺院ではありませんが、境内は自由に歩けます。
境内の西の妙見菩薩を祀る妙見宮は、洛陽十二支妙見めぐりのひとつです。

また、本堂脇には、徳川家康の二男・秀康の正室、蓮乗院の石廟があります。
境内の墓地には、武将・山中鹿之介(やまなか ゆきもり)の墓があります。



🌸アクセス
京都市上京区鶴山町16(寺町通今出川上る二丁目 )
バス:京都市営バス「葵橋西詰」バス停 徒歩3分
電車:京阪電気鉄道鴨東線「出町柳駅」 徒歩約10分

🌸ホームページURL
京都観光オフィシャルサイト 京都観光Navi

🌸公衆トイレ
なし

🌸本満寺で見られる花
桜、ボタン、シャクヤク

🌸周辺の見所
京都御苑、阿弥陀寺、下鴨神社